なぜ、インターネット広告代理店は激務なのか。今と昔の違い。

本記事はあくまで私個人的な体験談であるということと、自分の勤めていた企業・所属している企業の批判するものではないということをご了承ください。

2015年5月に、私はGMO NIKKOというGMOインターネットグループの広告・メディアセグメントに位置するインターネット専業の広告代理店に入社しました。

関連記事

本記事は2022年4月にリライトした内容になっています。なので、退職した時(2019年4月)の当時の感情を表現しきれていない可能性があります。 あくまで私個人の考えなので、「この記事に騙された!」とかはナシでお願いします。 […]

入社当時はまだ「働き方改革」なんて言葉はなく(知らなかっただけかも)、某国産インターネット広告媒体社に勤めていた先輩が「朝11時に出社して、朝4時まで働いている」と話しており、入社時はかなり不安でした。

たくさん働くことに対しては、自己成長につながるのでポジティブには捉えていたのですが、そんな働き方をして心身ともに健康でいられるのかは不安だったのです。

結果、私はいまでも健やかに生活できていますし、精神的に病んだこともありません。

本記事ではなぜ広告代理店は激務とされるのか、実際どの程度忙しいのか、働き方改革の影響はあるのかについて紹介したいと思います。

にしかた
リアルにいくぜ!

なぜインターネット広告代理店は激務なのか

売っている・扱っている商材が多い

そもそも代理業や仲介業は、「面倒なことを人に任す」ということから始まったと私は考えています。

そのため、「売っている・扱っている商材が多い」ということは、インターネット広告代理店に限った話ではありません。

例えば「ほけんの窓口」などの保険代理店は、簡単にいえば小難しい”保険”という商品を顧客のニーズに合わせて紹介するサービスです。

不動産仲介業も、顧客に合った物件を探して提案して、契約が決まったら不動産会社と顧客の契約を取り持たなければなりません。

同じようにインターネット広告も、GoogleやYahooで検索をすると表示されるリスティング広告をはじめ、Youtubeで出てくる動画広告、SNSのフィード内に表示される広告や、記事風の広告などもあります。

代理店が忙しい理由1

とにかく多くの商品・商材があり、一つ一つの料金形態や特徴などを企業の広告担当が全てを把握することは非常に困難です。

そのためインターネット広告代理店を活用することで、広告出稿をスムーズに実行することができます。

インターネット広告に限らず、代理・仲介業者を通すことで、複雑な商材の管理を簡単にすることができるのです。

一人の担当が多くのクライアントを担当する

代理・仲介業は、複雑な商材の管理を行う代わりに手数料を受け取ります。

例えば不動産仲介業の場合、法律で受け取ることができる仲介手数料の上限が定められています。

インターネット広告代理業の場合、法律で手数料の上限は定められていませんが、おおよそ出稿金額に対して5%~20%程度の手数料を課しています。

手数料を変動させず、且つ制作費等のオプションを排除した場合、代理業・仲介業は以下の2パターンで売上を増やすことになります。

  1. 顧客数を増やす
  2. 顧客の取り扱い金額を増やす

これも不動産に置き換えると、①は多くの人に契約をしてもらう、②は価格が高い物件の仲介をおこなう、ということになります。

広告代理業も同様で、①は多くのクライアントと取引をする、②は出稿金額を増やしてもらう、となります。

広告代理店として最もコスパが高いのは、「取り扱い金額が大きいクライアント」を「数社だけ担当する」ことですが、そんな美味しい話はなかなかありません。

取り扱い金額が大きいクライアントから小さいクライアント」を「多くの社数担当する」代理店の方が多いのではないでしょうか。

業界上位の代理店の中には、最低出稿金額を定めている企業もありますが、よっぽど代理業が盤石でないと、そのような足切りは難しいと思います。

加えて、各企業・クライアントによってサービス内容、ビジネスモデル、狙っているターゲット層、訴求したい内容は様々です。

そのため広告代理店の担当者は、各企業・クライアントに合わせた広告商品やクリエイティブを考えなければならないのです。

代理店が忙しい理由2

これもインターネット広告代理店に限らず、代理・仲介業者すべてに当てはまることだといえるでしょう。

代理・仲介業が忙しいとされる共通の理由は、これまで説明してきた「商材の多さ」と「取引相手の多さ」です。

突き詰めると終わりがない

ここからは総合・専業共通の「広告代理店ならでは」の忙しい理由です。

もちろん業種でも当てはまるかもしれませんが、広告業で顕著にあらわれると思います。

例えば「広告クリエイティブ」には答えがありません

心理学的な傾向はあります。「カクテルパーティー効果」や「カリギュラ効果」などは耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。

しかしこれらは、要素に入れ込めば効果的である傾向があるだけであって、絶対の成功は保証されていません。

タレント選びも同様で、若年層に人気のタレントを起用すれば、若年層の態度変容が生まれる可能性が高まるかもしれないという仮定の話でしかないのです。

どの広告代理店もユーザー調査や過去の実績を元に、仮説を積み上げながら効果が出る広告を作り上げていくので、突き詰めると終わりがないのです。

もちろん、いくら仮説を積み上げたところで成功するとは限りません。

失敗したら「なぜ失敗したのか」「次やるならどうやれば成功するか」の仮説を積み上げ続けるのです。

商品のアップデートが多い

最後に広告代理店の中でも、インターネット専業特有の忙しい理由を紹介します。

それは広告商品のアップデートが多いことです。

私がインターネット専業の広告代理店に在籍していた2015年~2019年は、毎週のように広告商品のアップデートがあったと記憶しています。(現在はどうなんだろう・・・)

主力媒体のGoogle・Yahoo・Facebook(Meta)・Twitter・Criteoのアップデートはもちろんのこと、新しいDSPやアドネットワークが毎週のように紹介され、全てを完全に把握・理解することはできませんでした。

私が入社後に新しく増えた広告媒体の例を挙げると、SmartNews・Gunosy・Instagram・LINE・TikTok・Apple(Search Ads)などキリがありません。

あえて聞き馴染みのある媒体を挙げましたが、他にもRTB House・popIn・logly・cinarra・Appierなどなど、インターネット広告業界に身を置いていないと全く聞かないような媒体もあります。

にしかた
同業者と広告媒体山手線ゲームやりたい
そのような様々な媒体で、様々なアップデートがあるので、常に最新の商品知識が求められ続けるのです。
最近では機械学習・AIなどの技術が発達したおかげで、そこまで各広告媒体の機能差は生まれなくなったように感じますが、まだ途上期だった頃は各広告媒体のアップデート合戦だったのです。

実際にインターネット広告代理店はどれくらい忙しいのか

胃腸炎になる人や、突然来なくなる人がいる

私も一度なりました。

にしかた
ストレス性ではなくて、ウイルス性だけどw

私の胃腸炎話は置いといて、実際に急に胃腸炎になる人はチラホラいました。

私の場合、広告代理店に入ってから風邪を引きやすくなったように感じます。

特段体が弱いわけではないのですが、寝不足や栄養不足によって免疫力が低下していたのではないかと思います。

また休職者は定期的に発生します。突然来なくなる人も。

やっぱり辛いと感じる人は多いんでしょうね。

ただ少なくとも私が在籍していたGMO NIKKOは残業を強要することもありませんでしたし、残業を美化する文化もありませんでした。

電通の例の事件があって以降、22時以降の残業は本部長の許可が必要になりましたし、実際に許可を取ってまで会社に残る人は少数でした。

私もたまに仕事が終わらなくて22時以降の残業許可をもらうことがありましたが、3ヶ月に1回程度くらいだった気がします。

早く帰りたい人は、早く帰る

先述の通り、私が在籍していたGMO NIKKOは残業を強要することはありませんでした。

定時に帰りたければ、上長に相談をして仕事量をコントロールしている人もいます。

ただ冒頭に説明したビジネスモデル上、稼働量が多い人の方が会社に多く利益還元をしている確率が高いわけで、帰りが遅い人=多くの仕事を捌いている人の方が昇進のスピードも早いです。

これはあくまで「遅くまで働いているから評価されている」のではなく、「遅くまで働き、仕事の質・量ともに優れている」が正しいです。

私も5人程度をマネジメントしていた身だったので、ダラダラ仕事をしていたら早く終わらせて帰ることを促しましたし、頑張って取り組んでいる人には見守ることもありました。

Excelを扱う速度がすごく早くなる

これはホント今でも重宝しているスキルなのですが、とにかく多くの仕事を捌かないといけない上に、インターネット広告代理店の場合多くのデータも捌かないといけないのでExcelはすごく得意になりました。

入社当時は「ぶ、ぶいるっくあっぷ?!」とかのレベルでしたが、今では数多くのショートカットキーを使いこなし、ブラインドタッチでVLOOKUPができるようになりました。(名付けてノールックアップ)

よく使う操作もショートカットキーに登録しているので、Excelを操作している時はほぼマウスを使いません。

にしかた
マクロは書けないがGASなら書けるぜ

周りの人もみんなExcelの扱いが鬼早いので、このスキルはGMO NIKKOを辞めて初めて自覚しました。

仕事が多いが故に、手元の作業のスピードがとんでもない速度になっていたのです。

今と昔の残業時間の違い

各社状況は違うと思いますが、色々な代理店の方にお話を伺ったところ、大体これくらいなんじゃないかなと思っています。

中には土日献上で160時間!手当はでません!みたいな人もいました・・・。元気にしてるかな・・・。

電通事件前の残業時間

例の電通事件が起こる前は、GMO NIKKOはいくらでも残業しても怒られない会社でした。

にしかた
いや、、注意はされていたかも、、
22時以降残業禁止令が出る前(2015年~2017年)の残業時間は60時間~100時間くらいだったと記憶しています。
残業100時間の場合、20営業日あったとすると毎日5時間残業していた計算になります。
定時が18時半だったので、おおよそ21時半~23時半くらいに退勤していた計算になりますね。
ただ提案や打ち合わせが重なると24時を過ぎることもあり、朝の5時まで会社に残って仕事をしていたこともあります。
会社から家が近かったので、5時半に帰宅し、6時に寝て、8時に起きて、9時には出社していました。。。

電通事件後の残業時間

電通事件後、22時以降残業禁止令が出ました。

当時は「ふざけんな!仕事終わらないだろ!」と思っていましたが、色々と業務を工夫してみたら意外にも22時までに終わるようになりました。

22時以降残業禁止令が出た後(2017年~2019年)の残業時間は30時間~40時間だったと記憶しています。

おおよそ20時~20時半くらいに退勤していた計算になりますね。

効率化という観点では、この頃に私はMySQLやSQLite、Accessなどのデータベースに触れることが多くなり、SQLも書けるようになりました。

加えてJavascriptも学び直し(これは業務時間外に)、複雑なタグ設定も自分一人でできるようになりました。

SQL、Javascriptはちょっと特殊な例ですが、周りの人も自分自身のやり方で仕事の優先度決め、取捨選択をおこない効率化に取り組んでいたと思います。

結果、反発の多かった22時以降残業禁止令後、私含め殆どの人は22時以降も会社に残って仕事をすることはなくなりました。

インターネット広告代理店の今と昔のまとめ

人によっては残業=悪ではないと思う

ここまでの話は、あくまで私自身のGMO NIKKOにおける体験談です。

他の代理店では鬼のように残業をしているかもしれませんし、逆に全く残業をしていないかもしれません。

現在も広告代理店の方とお付き合いをしているのですが、とんでもない時間にメールを送信している人も稀にいます。

個人的には「残業=悪」と一元的に捉えるのは良くないと思っています。

若いうちに多くの経験を積みたい、多忙の中で成長したいという方にとっては代理・仲介業はオススメだと思います。

なぜなら冒頭に述べた通り、代理・仲介業は扱う商材が多い上に、取引相手も多いためです。

全体のまとめ

最後に今回説明した内容のまとめです。

  • 代理・仲介業は総じて忙しい
  • インターネット広告は情報のアップデートが多いため大変
  • 働き方の多様性が浸透しはじめている
にしかた
インターネット広告代理店に入るとエクセルマスターになれるぜ!