インターネット広告代理店の価値とは?インターネット広告代理店が今後やるべきこと

本記事はあくまで私個人の考えであり、私が所属している見解ではありません。

またGoogleで働くことを通じて感じたことではなく、前職のGMO NIKKO(インターネット広告専業の代理店)に所属していた時から感じていたことも含まれます。

とはいえ、現在の仕事に支障をきたす可能性があれば、記事は削除する予定です。

私とインターネット広告

初めての広告運用

私がインターネット広告の運用に初めて関わったのは2014年夏頃、友人の起業に乗っかった時期でした。

インドネシア向けビジネスだったため、インドネシアで盛んだったFacebook広告で、初めてインターネット広告を出稿しました。

インドネシアの時の話に興味がある方は以下の記事をご参照ください。

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今となってはあまり行われなくなった「ページのいいね(フォロワー)」集めの広告。

インドネシアは物価が安く、かつ日本よりもFacebookのアクティブユーザーが多かったため、1フォロワーあたり100rp(日本円で約1円)で集客することができました。

もちろん広告はインドネシア語で作る必要があったため、現地のインドネシア人スタッフに「こういう広告を出したい」と指示をしたり、Google翻訳でインドネシア語の文章を送りそれを添削してもらったりして、試行錯誤しながら広告を出稿していました。

広告の意思決定者が私のみであったため、ダメだった広告はすぐに差し替え、新しい方法をどんどん試していった記憶があります。

「広告代理業」を知る

そして2015年、社長と意見が合わず株式会社Everentiaを辞め、インターネット広告代理店であるGMO NIKKOに転職しました。

入社してすぐ感じたことは、「なんでこんな無駄な作業があるんだろう」「確かに請け負ってる立場として、この業務は必要だけど。。。」と、一般的な企業の業務スピードの遅さに困惑していました。

例えば、初めてクライアントとの定例会に参加した時のこと。

先輩の広告運用のレビューを横に座って聞いていたのですが、「こんなに細かく報告するんだ」と思いました。

来週どの広告を入れて、どんなテストを行って、次に何をするかを一つ一つ確認しながら仕事を進めていく。

そんな光景は自分にとって、物凄くスピード感がないものでした。(決してその先輩をディスっているわけではありません。)

今となっては「責任の所在を明確にする」「物事を順序立てて正しく前に進める」ために、細かく確認をしていく必要性については理解しているのですが、「にしても確認多くないか」とは今でも思います。

「広告媒体」の立ち位置

Googleに入社して分かったことは、広告媒体側は「インドネシア事業をやっていた自分の感覚に近い」ということでした。

例えばGoogle広告で新機能が出た時に、Googleの立場としては「素晴らしい機能がリリースされました。まずは試しに使ってみましょう!」と話すことが多いです。

インドネシア事業の中で広告運用をしていた私も、先述の通り「何でもいいから、とにかく効果を良くしたい」という一心で、メリット・デメリットを考えずになりふり構わずチャレンジしていた記憶があります。

一方で代理店側や事業主(広告主)の立場としては、新しい機能を実装したことによって生まれるメリット・デメリット・他施策との兼ね合いを考慮しなければなりません。

そのため広告媒体側は「え、なんでそんな細かく確認が必要なの?」と思い、代理店や事業主は「え、なんでそんな大胆なの?」と思っており、すれ違いが発生しているのです。

両方の立場を経験している私からすると、どちらかが正しい・間違っているわけではなく、もう少しお互いのことを想像しようよと思います。

にしかた
お互い歩み寄ろうや

インターネット広告代理店に運用を頼むメリット

大雑把に言えば「丁寧な仕事」をする広告代理店に運用を頼むメリットはどこにあるのでしょうか。

私が考えるインターネット広告代理店に運用を頼むメリットは以下の4つです。

  1. 複数の広告媒体をまとめて管理することができる
  2. クリエイティブ制作などの運用以外の支援を受けられる
  3. 同業種・他社のノウハウを活かすことができる
  4. 離職・退職のリスクヘッジをすることができる

複数の広告媒体をまとめて管理することができる

私がインドネシア事業の中で広告運用をしていた際、扱っていた媒体は主にFacebookとGoogleでした。

扱っていた媒体が2つのみであった上に、責任者・担当者が自分のみであったため「自分さえ分かれば良い」という状況でした。

そのため運用実績はFacebook・Googleそれぞれの管理画面のみで確認し、事業成果の確認もGoogle Analyticsで眺めているだけでした。

一方で広告代理店の場合は、少なくてもGoogle・Yahooの2媒体、多いとTwitter・Facebook(Instagram)・Criteoなど様々な媒体を扱います。

加えてそれらの媒体毎の成果を一元的に確認できる状態にする必要があるため、Excelなどでレポートを集計する必要がありました。

事業主(広告主)としても社内での報告義務が少なからずあるため、代理店が出す各媒体のまとまったレポートは非常に有用なのです。

私も代理店時代に広告主から「資料をPDFではなく、パワーポイントで欲しい」とよく言われました。恐らくそのまま社内資料に転用したかったのだと思います。

更に、各広告媒体の機能アップデートは不定期で頻度高く行われます。

そのため広告媒体側と直接的なつながりが薄い広告主としては、代理店を通じて機能のアップデートを聞いたほうが楽なのです。

クリエイティブ制作などの運用以外の支援を受けられる

多くのインターネット専業の広告代理店は、運用機能の他にクリエイティブ制作などの支援もおこなっております。

TikTokやYoutubeの爆発的な人気上昇とともに、動画広告の需要も年々増えています。

バナー広告ならまだしも、動画広告を制作するにはそれなりの準備や技術が必要です。

広告代理店に運用を任せておけば、動画広告の制作をはじめ、広告に関連する様々な支援を受けることができます。

仮にその広告代理店が動画制作の支援をしていなかったとしても、広告用動画の制作会社をいくつか紹介してくれるでしょう。

同業種・他社のノウハウを活かすことができる

自社運用をしている場合、「本当にこの運用は正しいのか?」と疑問に思っても、相談・参考にする相手がいません。

一方で広告代理店に運用を任せた場合は、同業種や他社の実績を元に運用の改善・提案をしてくれます。

特に大手の代理店は様々な業種を扱っているため、「ノウハウのない業種」は存在しないでしょう。

日本の場合は海外のように一業種一社制ではないため、同じ担当者が競合企業を担当していることもあります。

企業によっては「自社のノウハウが他者に流出している」と考えてしまうかもしれませんが、ノウハウが少ない企業によっては大きなメリットとなり得るでしょう。

離職・退職のリスクヘッジをすることができる

自社運用をしている場合、広告の運用業務だけであれば必要な人員はせいぜい1人~2人です。

仮に1人だとして、この人が離職・退職してしまったらどうなるでしょうか。

広告運用業務は数週間の引き継ぎで身につくようなものではありません。

Google・Yahoo!が提供するリスティング広告には様々な機能があり、それらの機能は聞き馴染みのあるものではありません

にしかた
「構造化スニペット」って言われても「は?」って感じだよね
引き継ぐ側からしても、インターネット広告の全てを伝授するのはかなり大変でしょう。
運用を代理店に任せておけば、仮に代理店の担当者が離職しても、後任の方も「インターネット広告の運用を知っている人」であるため、これまで通りの運用を継続することができます。

奪われつつあるインターネット広告代理店の価値

さて、ここまでインターネット広告代理店のことをベタ褒めしてきましたが、ここからはインターネット広告代理店の「価値」について言及をしていきます。

代理店の価値である「運用」が奪われた話

インターネット広告代理店に運用を頼むメリットは4つだと説明しましたが、実はつい最近まで5つありました。

それは「煩雑な運用業務を任せることができる」ということです。

Google・Yahoo!が提供するリスティング広告ではキーワードごとに運用調整が可能で、自動入札が普及するまでは、登録されている1,000以上のキーワードを毎日調整する時代があったのです。

にしかた
といってもCSVファイルを使って一括調整してたんだけどな

私がGMO NIKKOに入社した2015年頃、Googleが「Hagakure(ハガクレ)」とよばれる「自動入札のパフォーマンスを最大化するアカウントの作り方」を提唱し始めました。

業界外の人にも分かる言葉に置き換えると「AI・機械学習を上手に使う方法」です。

このHagakure(ハガクレ)という考え方によって、自動入札の導入が一気にすすみ、インターネット広告代理店の一つの価値であった「運用」が、AI・機械学習に奪われてしまったのです。

今でもある程度の運用調整は必要ではあるものの、昔ほど細かく入札を調整する必要がなくなったのです。

奪われつつある「クリエイティブ制作」の価値

そしてこれから代理店が奪われるだろう価値の一つとして「クリエイティブ」があります。

例えばGoogleのディスプレイ広告では、ShutterStockの画像が無料で利用できるようになりました

またMeta(Facebook)では、インスタントエクスペリエンスという素材さえあれば誰でもリッチな広告が作れる機能も提供がされています。

広告媒体以外でも、動画制作を支援するSaaSや、レポーティングを支援するSaaSなどが増えており、代理店の「広告に付随する支援」の価値は徐々に薄まりつつあるのではないでしょうか。

インターネット広告代理店がやるべきこと

残された価値は「統合管理」「ノウハウ」「リソース」

そうなると、広告代理店に残された価値は「統合管理」「ノウハウ」「リソース」です。

「広告関連の支援」の価値が消し飛んだわけではありませんが、今後重視されていく価値はこの3つになると考えています。

「いやいや、広告代理店はクライアントの事業を理解して・・・」という反論もあるかもしれませんが、それはこれらの価値を満たした先にあるものだと私は考えています。

以下の記事で紹介した通り、広告代理店の売上を伸ばすためには2つの方法があります。

  1. 顧客数を増やす
  2. 顧客の取り扱い金額を増やす
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本記事はあくまで私個人的な体験談であるということと、自分の勤めていた企業・所属している企業の批判するものではないということをご了承ください。 2015年5月に、私はGMO NIKKOというGMOインターネットグループの広告[…]

この方法を踏まえると、代理店は早く・正確に「統合管理」「ノウハウ」「リソース」を提供し、多くの顧客を担当しなければならないということが言えると思います。

「インターネット」「プログラム」への理解を深める

早く・正確に多くの業務をこなすためには、関連するものの知識を深めなければなりません。

広告代理店である以上、扱う広告の商品知識は必須科目です。

その上で、理解を深めて損はない知識が「インターネット」や「(コンピュータ)プログラム」です。

インターネット広告代理店で働いているにも関わらず、多くの人はインターネットに関連する知識が乏しいです。

HTMLとはなにか、サーバーとはなにか、クッキーとはなにか、プロトコルとはなにかを理解している人は一握りだと思います。

もちろん全てを詳細に理解する必要はありません。概念として捉えておくだけでも、新しい技術や機能が出てきた時に理解度に大きな差が生まれます。

加えて「(コンピュータ)プログラム」も同様です。

これもコードをバリバリ書けるレベルになる必要はありません。

「なぜクリックをすると別のページに飛ぶことができるのか」「どうやって検索結果を一覧で表示しているのか」の概念を学ぶだけで十分です。

コードは書けなくても「プログラミング」への理解が深まれば、同じく新技術や新機能への理解が深まるのです。

「データ」への理解を深める

これはプログラムへの理解を深めると重複するのですが、データへの理解も今後非常に重要になってきます。

例えば広告運用の実績レポートを、APIを介して一括取得したい場合、どのように取得・蓄積していけばよいでしょうか。

APIを介した一括取得は、先述したプログラムへの理解が必要です。

データへの理解は、取得した後の「データの蓄積」に大きく関わってきます。

どのようなデータテーブルにすればよいのか、そのデータテーブルからどのようにレポートに出力すればよいのか、を素早く判断するためにはデータへの理解が必要です。

「データベース」「SQL」を聞くと身構えてしまうかもしれませんが、データへの理解はExcelの処理でも同様です。

どのようにデータを加工すれば求める分析結果が得られるのかを瞬時に判断するためには、データそのものの理解と、データを処理するスキルが必要です。

よく「データ分析」という言葉が独り歩きしますが、データ分析はデータの理解・データの処理の後の作業です。

データ分析を学ぶ前に、まず「データとはなにか」から理解を深めると良いのではないでしょうか。

インターネット広告代理店の価値 まとめ

ちょっと支離滅裂気味になってしまいましたが、本記事で伝えたかったことのまとめです。

・代理店の価値は年々薄まりつつある
・代理店の価値は早く正確に「統合管理」「ノウハウ」「リソース」を提供すること
・価値を高めるためには「インターネット」「プログラム」「データ」への理解を深める必要がある
最後に、私が思っていることを簡潔に話します。
これはGMO NIKKOの時から思っていたことです。
代理店は所詮作業屋だと思っています。

これは代理店を揶揄しているわけではありません。

少なくとも私は、作業屋として誇りを持って仕事をしていました。

先述した通り、「クライアントの事業を理解して・・・」という話は、作業屋としての仕事を全うした先にあるものです。

作業屋である以上、より多くの作業を早く・正確にこなしていくことが、まず求められることなのではないでしょうか。

にしかた
代理店の仕事も好きだったぜ!